耳をすませばの全セリフ

アニメ『耳をすませば』の全セリフを紹介のサイトです。アニメ『耳をすませば』でのセリフが全て一覧となっています。
月島雫や天沢聖司などが織りなす魅力的な『耳をすませば』の世界を、セリフの書き起こしを読んで思い出したり、あるいは二次創作やパロディを考える際の参考などにご活用ください。

♪Country roads. take me home

♪To the place I belong

♪West Virginia. Mountain Mamma

♪Take me home. country road

♪Almost Heaven. West Virginia

♪Blue Ridge Mountains. Shenandoe River

♪Life is older. older than the trees

♪Younger than the mountain

♪Growing like a breeze

♪Country roads. take me home

♪To the place I belong

♪West Virginia. Mountain Mamma

♪Take me home. country road

♪All my memories gather round her

♪Mine is lady. stranger to blue water

♪Dark and dusty. painted on the sky

♪Misty taste the moonshine

♪Teardrops in my eye

♪Country roads. take me home

♪To the place...

こんばんは

暑いわね

(月島 雫) ただいま

(雫の母) ありがと

またビニール袋? 牛乳1本なのに

だって くれるんだもの

断ればいいじゃない

あっ 私にもちょうだい

お父さんは? 麦茶

(父) うん もらう 今そっち行く

ありがと ワープロあいた?

今 プリントアウト中だよ

やっぱり ノートワープロ買おうかしら

(母) はーっ タバコくさい

雫も柏崎へ行けばよかったのに

いい お姉ちゃんと一緒だと疲れる

(雫の父) そうだ 明日 出勤だった

(母) えーっ お弁当?

いいよ 外食にする

わが図書館も

ついにバーコード化するんだよ

準備に大騒ぎさ

やっぱり変えちゃうの

私 カードの方が好き

僕もそうだけどね

(母) ねえ この文章おかしいわよ

えっ どこ?

(母) ここ 1行抜けてるのかしら

(父) あっそうだ いけね

(母) 先に貸して 急いでまとめなきゃ

教授 うるさいんだから

この人…

雫 本もいいけど適当に寝なさい

うん おやすみなさい

やっぱり…

見覚えある名前だと思った

これにも…

すごい この人

みんな私より先に借りてる

天沢聖司… どんな人だろう

ステキな人かしら…

雫! いいかげんに起きなさい

私 出かけるよ

なにあなた そのまま寝てたの?

お米 といどいてよ

いってらっしゃーい

あっ もうこんな時間!

夕子と会うんだ!

(ドアの開く音)

お財布

なに また下まで降りちゃったの?

そう

おかしいなあ

電話のとこは?

(母) あった!

自分で置いたくせに

ヒャー 遅刻する 戸じまりしてよ

粗忽

ああっ

わあ ずいぶん低い

今日はいいことありそう

あーっ 暑い

(ワン ワン ワン!)

ヤッホー 元気だね

ほら かっとばせ!

オーイ 雫!  

ヤッホー がんばってね!

高坂先生います?

(高坂先生) 月島じゃん どうした?

先生 お願い聞いてくれます?

なーに? 変なことじゃないだろうね

図書室あけて下さい

図書室?

次の開放日まで待てないの?

みんな読んじゃったんです

市立図書館は今日 休みだし

私 休み中に20冊読むって決めたんです

20冊!?

月島は仮にも受験生なんだよ

(高坂先生) ほれ 早くしな

えーと… あった!

早く持っといで

ほれほれ

読書カードと貸出カードを出す 出す

お願いしまーす

いやあ 何これ

今まで1人も借りてないじゃん

貴重な本なんですよ

市立図書館にもないんだから

天沢…

先生! この天沢って人

どんな人か知ってます?

あーっ 失敗しちゃったじゃないか

寄贈した人だろう

そんな古いこと分からないよ

ベテランの先生に聞いてみな

雫!

(原田夕子) こんな所にいた!

11時に昇降口って言ったくせに

15分も太陽の下にいさせて

またソバカスが増えちゃうじゃない!

ごっ ごめん

(高坂先生)こらこら 騒ぐな

原田は気にしすぎなんだよ ソバカス

先生!

私 真剣に悩んでいるんです

ああ分かった 分かった

ほれ二人とも出た 出た

(男の子) あがれ あがれ!

一応やってみたけど うまくいかないよ

やっぱり英語のまんまでやったら?

♪白い雲 湧く丘を

♪まいてのぼる 坂の町

♪古い部屋 小さな窓

♪帰り待つ 老いた犬

♪カントリーロード はるかなる

♪故郷へ つづく道

♪ウエストジーニア 母なる山

♪懐かしい わが町

悪くないよ

だめだ

ありきたり…

そうかなあ

こんなのも作った

♪コンクリートロード どこまでも

♪森を切り 谷を埋め

♪ウエスト東京

♪マウント多摩

♪故郷は コンクリートロード

(ギャハハハ)

何これ!

で なによ相談って?

訳詞は まだいいんでしょう?

うん 雫 好きな人いる?

えっ?

両想いの人がいたらいいなって…

受験だし 励まし合ってがんばれたらって

夕子 好きな人いるんだ

ラブレターもらったの!?

シッ! やだ

いつ? どんな人? カッコイイ?

他のクラスの子 少しカッコよかった

付き合ってみたら?

それでいやなら断る

でも…

さては 他に好きな人いるんでしょう

え…

かくしてもだめ!

ほーれ 白状しちゃえ

えっあっ す… す…

月島!

(杉村) 俺のバッグ取ってくれる?

杉村!

そこの青いスポーツバッグ

頼むよ 月島!

それ投げて

うるさいなあ もう!

万年タマひろい!

ひでえなあ

レギュラーで3回戦突破したんだぞ!

夕子!?

わあっ!

杉村だったのかあ

夕子が好きな人って…

どうしよう

分かっちゃったかもしれない

私 あんな…

大丈夫だって あいつニブいから

でもどうすんの ラブレターの方は

うん…

もう少し一人で考えてみる

そっか

いいなあ 雫の家は

勉強 勉強って言わなくて

あんまり言われないのも つらい時あるよ

そうかなあ

あっ いっけない!

どうしたの?

本忘れて来ちゃった 私帰るね

乗っけてこうか?

いい 夕子 塾おくれるよ

また電話するね

うん

あ…  

ああっ

そっ その本

ああ… これ あんたのか

ほらよ 月島 雫

名前 どうして?

さて どうしてでしょう?

あっ 図書カード

お前さ コンクリートロードは

やめた方がいいと思うよ

読んだなーっ!

やな奴 やな奴 やな奴!

やな奴 やな奴 やな奴!

やな奴!

“コンクリートロードは やめた方がいいぜ”

なによ!

(雫の姉 汐) ただいま

ああ…

お姉ちゃん! 今日だったの

あーっ 疲れた

こっちへ車で帰る人がいたんで

乗せてもらっちゃった

(汐) お母さんは?

夏期集中講座だって お父さんは出勤

雫 少しはかたづけな

晩ごはんのしたくは?

お米 といどくの

なあにこれ 雫!

ちらかしっぱなしじゃない!

今やるとこ

お母さん大変だから応援しようって

決めたでしょう

お米といだら洗濯物しまって

シャワーあびたら 私がごはん作るから

おばさんが 高校生になったら雫も来いって

うん

勉強 進んだ?

うん

うちの親は何も構わないからって

安心してるとヒドイことになるからね

してるよ!

ハハハハ…

おしょうゆまで持たせようとするのよ

おばさんらしいわね

(母) 去年もそんなことあったじゃない

(汐) そう おミソ持たされてさ

重かったよ 忘れないわ

(母) 2キロぐらいあったわよねえ

(ガーッ ガガーッ)

ううーん

雫 いいかげんに起きな

自分のとこ掃除機かけなさい

シーツ洗うから出して

フトンも干すのよ

うーん…

お母さんは?

とっくに行った

さっさと片付けて そのお弁当

お父さんに届けてあげて

えーっ

なによ その声

図書館に行くんでしょ

(汐) かわりに私が行こうか?

雫がトイレと風呂場に玄関掃除して

生協に行ってくれるのよね

フトンを取り込んで 買い物をして

晩ごはんのしたくするのよ

いってきまーす

雫!

これポストに出しといて

なあに?

ポ・ス・ト!

ああっ

ああっ あ…

見なくていいの!

クリップごと出すんじゃないよ

彼氏?

バカ!

(発車の音)

ネコ君 ひとり?

どこまで行くの?

外 おもしろい?

オーイ 答えてよ  

私ここで降りるの 君は?

じゃあね ネコ君

あーっ

あーっ ネコ!

図書館の方へ行く!

(車の動き出す音)

(ブロロロ…)

あーあ せっかく物語が

始まりそうだったのに…

いたーっ!

(カチャ カチャ)

あっ

ああっ

すごい坂… どこまで上るのかしら

ハァ ハァ ハァ…

あっ!

ネコくーん

ネコくーん

このあたりに住んでるのかしら…

(犬の鳴き声)

(車のクラクション)

キャッ!

ネコくーん どこ行くの?

この辺に住んでるの?

あっ

丘の上にこんな所があるなんて

知らなかった

(ワン ワン ワン!)

(ワン ワン ワン…)

性悪 犬をからかってまわってるんだ

うーん 私のことをからかってるのかも  

こんなお店が丘の上にあるなんて

知らなかった

ステキな人形…

あなたは さっきのネコ君?

ハッ!

(小さな物音)

やあ いらっしゃい

あっ あの…

いやそのまま そのまま

自由に見てやって下さい

男爵も退屈してるから…

男爵って このお人形の名前ですか?

そう

フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵

すごい名でしょう

おおっ すまん

ありがとう もう大丈夫だ

立派な時計ですね

あるお城で眠ってたんだよ

すっかり さびついていたんだ

ごらん

わーっ きれい

これ何ですか?

フフフ…

できあがってのお楽しみ

(オルゴールが鳴り始める)

わあ

よくできてる! ドワーフですね

よくご存知だ

そうか お嬢さんはドワーフを

知っている人なんだね

文字盤を見てごらんなさい

うまくいくかな?

(鐘の音)

エルフ!

ガラスが光るね ここへ来なさい

はい

王女さま?

そうだね

二人は愛し合ってるの?

うん

しかし住む世界が違うんだ

彼はドワーフの王だからね

12時の鐘を打つ間だけ

彼女は羊から もとの世界へ戻れるんだよ

それでも彼は時を刻むごとに

ああして現れて 王女を待ち続けるんだ

きっとこの時計を作った職人が

とどかぬ恋をしていたんだよ

それで二人とも なんだか悲しそうなのね

(カチッ)

あーっ!

この時計 進んでますよね

うん でも5分ぐらいかな

たいへん!

私 図書館に行かなきゃ さよなら

おじいさん また来ていいですか?

ああ 図書館なら左 行った方がいいよ  

わあ 図書館の真上

フフフ…

いいとこ見つけちゃった

物語に出てくるお店みたい

ステキ!

月島 月島 雫!

これ お前のだろう?

えっ? ああっ!

忘れっぽいんだな

ありがとう でもどうして…

さて どうしてでしょう

ネコ! そのネコ 君の?

お前の弁当ずいぶんでかいな

え… 違う!

♪コンクリートロード どこまでも…

違うの コラーッ!

あれ 来てくれたのか?

どうしたんだ? こわい顔して

ちょっと説明しようがないの

ほう…?

とてもいいことがあって

洞窟で宝物みつけた感じだったの

それが心ない一言で生き埋めになった気分

ハハ… それは複雑だ

今日も借りてくかい?

うん あと7冊は読まなきゃ

相変わらずだね メシどうする?

売店で済ます

そうか じゃありがとう

6月16日

すごい…

天沢って人 この本も読んじゃってる

どんな人なんだろう

違う お前なんかじゃない!

雫 早くしな!

うわーっ 遅刻!

カサ カサとって!

新学期なのに雨ばっかりね

(雫) 文句 言わない

あなたは好きで 勉強してるんでしょう!

(母) はーい

(雫) しっかり勉強しなさい

(母) まかしといて!

雫!

ヤッホー

早く 遅れるよ

いやね テストばっかりで

毎日 なんかかんかあるね

あれ返事した?

ううん

何も言ってこない?

うん

私 やっぱり断る

そっか うん その方がいいかもね…

杉村!

ギリギリだぞーっ

分かってる!

はい終わり 集めて

(チャイムの音)

午後は通常だからな

(男子生徒) こっち来いよ 飯食うぞ!

雫 高坂先生の所へ行こ

うん その前に職員室よっていい?

いいよ

月島 聞いて 聞いて!

なによ

ばっちりヤマ当たり すっげえの

この幸せ者

休み時間に見た所が そのまま

ドンピシャだぜ

ただの野球バカじゃなかったんだ

ヤマ張りなら夕子 得意だよね

今度 一緒に勉強したら

原田が!?

杉村 杉村

なんだよ?

行こう 雫

ムリヤリくっつけようとしないで!

分かった?

私 ヤマなんか当たったことないもの

ごめーん  

失礼します

本の寄贈者? 僕に分かるかなあ

すみません お食事中に

この蔵書印なんです

えーっと…

ほう 天沢さんじゃないか

これ僕も読んだよ いい本でしょう?

はい とても

それでこの天沢さんていう方は

どんな人なんですか?

何年か前に

確かPTAの会長をされていた方だよ

PTAの…

あの その方の名前は分かります?

名前… えーと 木村先生

天沢さんは何ていいましたっけねえ

天沢医院の ほら…

天沢さん? 確か航一ですよ 天沢航一

天沢航一…

月島 同じ学年に天沢さんとこの

末っ子がいるじゃないか 知らないのか?

ええっ!? あっ あの…

ありがとうございました!

失礼します!

あっ すみません!

雫! どこ行くの

ああ おどろいた

おどろいたのはこっちよ

ちゃんと説明してもらいますからね

ごめーん

雫 どっち行くのよ?

なによ 完璧に無視してくれちゃって!

雫 誰あいつ? どこへ行く気?

アイツやな奴なの 逃げるのやじゃない

アハハハ…

私 雫のお弁当 持って走り回ってたのよ

月島に男がねえ…

先生 雫にもようやく

春が来たんですね

違うって言ってるのに!

本当は本の王子さまに会ったんでしょ

ハンサム?

だからどんな人かと思っただけ

夕子はその人の名前 知ってんでしょ

教えなよ

夕子!

それが とっさのことでさ

“マ”がついてたんだけど

マサキだっけ アマ…

ねえ 雫

さあね

でもさ 話を最後まで聞かずに

飛び出してくるなんて 月島らしいね

知りたいけど知りたくないのよね

揺れる心が苦しくてうれしい

まあ ロマンチックですこと

そうやって

からかっていればいいでしょ

せっかくカントリーロードの詞

書いてきたのに

できたの?

見せて 見せて

雫さま 大詩人さま

もう しませんのでお見せ下さい

よろしい

本当は自信ないんだ

故郷って何か やっぱり分からないから

正直に自分の気持ちで書いたの

カゲキね これ

♪カントリーロード この道

♪ずっとゆけば

♪あの街に つづいてる気がする

♪カントリーロード

雫 いいよ 私好き

歌いにくくない?

なんとかなるんじゃない

後輩にあげるだけじゃつまらない

私達も謝恩会で歌おうよ

(雫) ええっ 謝恩会!?

気が早い

ここ いいな

“一人で生きると”

“何も持たず町を飛び出した”

“さみしさ押し込めて”

“強い自分を守っていた”

諸君 予鈴だよ

はーい

(チャイムの音)

あーっ 晴れた 晴れた

雫!

コーラス部に ちょっとよってかない?

あの詞 見せるの

いい 図書館に行かなきゃ

ええっ 明日もテストあるよ

図書館でやるもん

好きねえ

じゃあね

バイバーイ  

原田

あのさ 悪いんだけどちょっといいかな

うん

やっぱりお休み…

お花に水は やってあるのかな

男爵がいないわ

買われちゃったのかしら

西 司朗 あいつも西っていうのかな…

(自転車のブレーキ音)

はあっ…

(汐) 雫 雫!

夕子ちゃんから電話!

耳悪くなるよ 雫

夕子?

えっ何? 聞こえない

うん 今すぐ行くから

うん じゃ切るよ

どこ行くの?

すぐそこ

どうしたの 夕子

雫…

どうしたのよ あっ 何その顔!?

雫 どうしよう

杉村が友達に頼まれて

あの手紙の返事くれって ウウッ…

ええっ あちゃー…

なんで杉村がそんなこと言うのよ!

おい…?

あいつニブいからなあ…

でもさ 杉村だって夕子の気持ち

知ってるわけじゃないし…

杉村には謝る

でもこんな顔じゃ学校 行けないから

明日は休むね

テストも?

うん

そっか…

(バカ)

(なんだよ)

うまくいったらしいよ

あっ雫 今日も図書館?

夕子のとこ行ってみる

あっそうか よろしくね

バイバイ

(杉村) 月島!

待てよ

原田のことなんだけど…

そしたらさ原田の奴 急に泣き出して…

なあ俺 何か悪いこと言ったかな

杉村さ 夕子はあんたがどうして

そんなこと言うのって言ったんでしょう

うん だから野球部の友達に頼まれたって

違う!

それって 杉村にはそんなこと

言われたくないってことよ

この意味 分かるでしょう

分かんないよ!

はっきり言ってよ

もう 本当にニブいわね

夕子はね あんたのことが好きなのよ!

え!? そんな俺 困るよ

困るって かわいそうなのは夕子よ

ショック受けて休んじゃったんだから

だ… だって俺…

俺 お前が好きなんだ

えっ…!?

やだ… こんな時 冗談いわないで

冗談じゃないよ ずっと前から

お前のことが好きだったんだ

だめだよ私は… だってそんな

俺のことキライか?

つきあってる奴がいるのか?

つきあってる人なんかいないよ

でも…

ごめん!

待てよっ!

月島 はっきり言え

だって ずっと友達だったから

杉村のこと好きだけど

好きとかそういうんじゃ…

ごめん うまく言えない…

ただの友達か?

これからもか?

そうか…  

(ワン ワン ワン…)

ふーっ

バカ! ニブいのは自分じゃないか

(ドアの開く音)

月島さん ちょっと待って

お届け物あずかってるの

(母) あっ いつもすみません

(ドアの閉まる音)

悪いわね いつも もらっちゃって

いいのよ うちじゃ食べきれないから

帰ってたの

雫?

ヤッホー

君も閉め出されたの?

君はこのうちで飼われてるの?

お腹へってない?

君もかわいくないね 私そっくり

どうして変わっちゃうんだろうね…

私だって前は ずーっと素直で

優しい子だったのに

本を読んでもね

この頃 前みたいにワクワクしないんだ

こんな風にさ うまくいきっこないって

心の中で すぐ誰かが言うんだよね

かわいくないよね

へえ 月島かあ…

あっ!

よくムーンが触らせたな

おいムーン よってかないのか

あのネコ ムーンっていうの?

ああ 満月みたいだろ

だからムーンって俺は呼んでるけどね

(ワン ワン ワン…)  

ムーンは君んちのネコじゃないの?

あいつをひきとめるのはムリだよ

他の家で お玉って呼ばれてるのを

見たことあるんだ

他にもきっと名前があるよ

ふーん 渡り歩いてるんだ

そうか!

ムーンは電車で通勤してるのね

電車?

そうなの ひとりで電車に乗ってたの

後をつけたら ここへ来てしまったの

そしたら ステキなお店があるでしょう

物語の中みたいでドキドキしちゃった

悪いこと言っちゃったな

ムーンにお前かわいくないねって

言っちゃった

私そっくりだって…

ムーンがお前と?

全然 似てないよ!

あいつはもう半分 化け猫だよ

あの…

おじいさん元気?

ずーっとお店 お休みだから元気かなって

ピンピンしてるよ

この店へんな店だから

開いてる方が少ないんだ

そうなの よかった

窓からのぞいたら男爵が見えないんで

売れちゃったのかなって…

ああ あのネコの人形か 見る?

来いよ

ドア閉めて

わあ…

空に浮いてるみたい…

高所恐怖症?

ううん

高い所好き ステキ…

この瞬間が一番きれいに見えるんだよ

こっち

ちょうどいいや

そこに座って

時計がない!

ああ そこにあったやつ?

今日 届けに行ったんだ ここへ来いよ

売れちゃったの

もともと修理の仕事だもん

そっか もう一度 見たかったなあ

3年がかりでさ

月島が弁当 忘れた日にできたんだよ

あっ! あのお弁当…

分かってるよ

お前のじゃないことぐらい

ここへ来て ネコの眼の中を見てみな

早くしろよ 光がなくなるぜ

わあ!

エンゲルスツイマー

天使の部屋っていうんだ

布張りの時に

職人が偶然つけた傷で できるんだって

きれいね…

男爵はなくならないよ

おじいちゃんの宝物だもん

宝物?

何か思い出があるみたいなんだ

言わないけどね

好きなだけ見てていいよ

俺 下にいるから

電気そこね つけたかったらつけて

ふしぎね

あなたのこと ずーっと前から

知っていたような気がするの

時々 会いたくてたまらなくなるわ

今日はなんだかとても悲しそう…  

ああ… もういいの?

うん ありがとう

ねっ それもしかして

バイオリン作ってるの?

あ… ああ

見ていい?

うん

こうなるんだよ

わあ!

これ全部 自分で作ったの!? 手で?

あたりまえだよ

信じらんない

バイオリンは300年前に

形が完成してるんだ

あとは職人の腕で

音の よしあしが決まるんだよ

あれも全部 作ったの?

まさか ここでバイオリン作りの教室も

やってるからさ

でも あなたのもあるんでしょう

うん…

ねえどれ? どれ?

あれ

わあ これ?

すごいなあ よくこんなの作れるね

まるで魔法みたい

お前なあ よくそういうはずかしいこと

平気で言えるよな

あら いいじゃない

本当にそう思ったんだから

そのくらいのもの誰でも作れるよ

まだ全然だめだ

ねえ バイオリン弾けるんでしょ

まあね

お願い! 聴かせて

ちょっとでいいから

あのなあ

お願い お願い お願ーい!

よーし そのかわりお前 歌えよ

えっ!?

だっ だめよ私 オンチだもん

ちょうどいいじゃんか

(試し弾きの音)

歌えよ 知ってる曲だからさ  

(カントリー・ロードを弾き始める)

♪ひとりぼっち おそれずに

♪生きようと 夢みてた

♪さみしさ 押し込めて

♪強い自分を守っていこ

♪カントリーロード この道

♪ずっとゆけば

♪あの街に つづいてる気がする

♪カントリーロード

♪どんなさみしい時だって

♪決して 涙は見せないで

♪心なしか 歩調が速くなっていく

♪思い出 消すため

♪カントリーロード この道

♪故郷へつづいても

♪僕は 行かないさ

♪行けない カントリーロード

♪カントリーロード 明日は

♪いつもの僕さ

♪帰りたい 帰れない

♪さよなら

♪カントリーロード

アハハハ…

愉快 愉快  

月島 雫です

この間は ありがとうございました

いや お嬢さんには

また会いたいなあと思ってました

この二人は僕の音楽仲間です

ナイスボーカル!

例の時計が完成した時にいあわせた

幸運な方ですな

聖司君に こんなかわいい

友達がいたとはねえ

ええっ 聖司!?

あなた もしかして天沢聖司?

(天沢聖司) ああ あれっ?

言ってなかったっけ 俺の名前

言ってなーい!

だって表に西って出てた

あれは おじいちゃんの名前だよ

俺は天沢

ひどい 不意討ちだわ

洞窟の生き埋めよ

空が落ちてきたみたい

なにバカなこと言ってんだよ

名前なんて どうだっていいじゃないか

よくなーい! 自分はフルネームで

呼び捨てにしておいて

お前が聞かないからいけないんだろ

聞く暇なんか なかったじゃない

ああ 天沢聖司って私てっきり…

なんだよ

優しい 静かな人だと思ってたの!

お前なあ 本の読み過ぎだよ

自分だって いっぱい読んでるじゃない

ハハハハ…

ほんとに楽しかった みんないい人達ね

また来いよ じいちゃん達 喜ぶから

聴くだけならなあ 歌うのはつらいよ

でも天沢君 バイオリン上手だね

そっちへ進むの?

俺くらいの奴は たくさんいるよ

それより 俺さ

バイオリン作りになりたいんだ

そうかあ もうあんなに上手だもんね

イタリアのクレモーナに

バイオリン製作学校があるんだよ

中学校を出たら そこへ行きたいんだ

高校 行かないの?

家族みんなが大反対

だからまだ どうなるか分からないけど

おじいちゃんだけが

味方してくれてるんだ

すごいね もう進路を決めてるなんて

私なんか全然 見当もつかない

毎日なんとなく過ぎちゃうだけ

俺だって まだ行けるって

決まっちゃいないんだぜ

毎日 親とケンカだもん

行けたとしても

本当に才能があるかどうか

やってみないと分からないもんな

送ってかなくていいの?

うん もうそこだから じゃあね

あ… 月島!

ん? なに

お前さ 詩の才能あるよ

さっき歌ったのもいいけど

俺 コンクリートロードの方も好きだぜ

なによ

この前はやめろって言ったくせに

俺 そんなこと言ったっけ?

言った!

そうかあ?

今日はありがとう さよなら

雫 スタンドちゃんと消しな

昨日 つけっぱなしだったよ

お姉ちゃん 進路っていつ決めた?

えっ?

進路!

(汐) あんた 杉の宮 受けるんでしょう

(雫) そうじゃなくって

(汐) それを探すために大学へ行ってるの

ふーん

(汐) おやすみ

おやすみ  

ハァ ハァ ハァ

お母さんてば 自分が休講だからって

起きないんだから!

ハァ ハァ ハァ

おはよう!

おはよう

もっと 早く走れ!

先 行っていい

(チャイムの音)

はあーっ 助かった…

雫 雫!

ひどい顔ねえ

そういう あなたは立ち直り早いわね

ゆうべ よそのクラスの男の子と

歩いてたって?

ええっ 誰がそんなこと言ったの?

ウワサよ 恋人同士みたいだったって

そんなんじゃないよ

原田 あのことだけど

俺の方から断っとく ごめんな

ううん 私こそごめんね

いいよ

おい ゆうべのサスケ見たか

すげえんだ 俺 感動した

この公式は中間テストに出すからね

よく覚えときなさい

ええーっ!

終わります

(チャイムの音)

あのさ 月島いるかな

天沢じゃん 何?

月島ってこのクラスだろ

月島? ああいるよ

オーイ 月島 面会だぞ

オトコの

ほら あそこだよ

聖司君

月島 ちょっといいかな

はっ はい

わーい 月島に男がいたぞーっ

オトコ! オトコ!

違う そんなんじゃないわよ!

(指笛の音)

何 いったい?

イタリアへ行けることになったんだ

えっ…

あっち行こ  

どこ行くんだよ

屋上!

あーっ

すげえなあ…

だって…

あんなに たくさん人がいる所で

呼び出すんだもん…

悪い いちばん先に

雫に教えたかったんだ

誤解されるぐらい構わないけど…

おやじが やっと折れたんだよ

ただし条件つきだけどね

えっ なあに?

じいちゃんの友達が紹介してくれた

アトリエで 2ヶ月見習いをやるんだよ

見習い?

その親方は とっても厳しい人なんで

見込みがあるかどうか 見てくれるって

それに俺自身がガマンできるかどうかも

分かるだろうってさ

だめだったら

おとなしく進学しろっていうんだ

俺 そういうの好きじゃないよ

逃げ道 作っとくみたいで

でもチャンスだから行ってくる

いつ? いつ行くの?

パスポートが取れしだい

学校とは今日 おやじと話をつけるんだ

じゃあ すぐなんだ…

よかったね 夢がかなって

ああ とにかく一生懸命にやってみる

あの…

雨あがるぞ

ほんとだ

わあ あそこ見て!

(雫) 虹が出るかもしれない

(聖司) うん

クレモーナって どんな町かな

ステキな町だといいね

うん 古い町だって

バイオリン作りの職人が

たくさん住んでるんだ

すごいなあ

ぐんぐん夢に向かって進んでいって

私なんか バカみたい

聖司君と同じ高校へ行けたら

いいなあなんて ハハハ…

てんでレベル低くて やんなっちゃうね

シーッ いる いる

いたぞ

俺 図書カードで ずーっと前から

雫に気がついていたんだ

図書館で何度もすれ違ったの

知らないだろう

となりの席に座ったこともあるんだぞ

ええーっ!

俺 お前より先に

図書カードに名前書くため

ずいぶん本 読んだんだからな

俺…

イタリアへ行ったら

お前のあの歌 歌ってがんばるからな

私も…

押すな バカ!

コラーッ!

月島が怒った!

わあっ 来た!

はい

ああ すまん

ごちそうさま

雫 もう食べないの?

夕子と待ち合わせ

駅の方へ行くなら牛乳 買ってきて

(雫) えーっ

雫が ガブ飲みしたんでしょう!

(ドアの閉まる音)

この頃てんでたるんでるんだから あの子

ごめーん サボらした?

いいよ

もう頭ぐじゃぐじゃ  

あら雫ちゃん いらっしゃい

こんばんは

おかえり

失礼します

お茶入れるから取りに来なさいね

はーい

お父さんとケンカしてるの

口きいてやらないんだ

男の子って すごいなあ…

2ヶ月で帰って来ても

卒業したらすぐ戻って

10年くらいは向こうで修行するんだって

ほとんど生き別れじゃない!

でもさ こういうのこそ

赤い糸っていうんじゃない? ステキだよ

相手がカッコよすぎるよ

同じ本を読んでたのに

片っぽはそれだけでさ

片っぽは進路をとっくに決めてて

どんどん進んでっちゃうんだもん

そうかあ…

絹ちゃん1年の時

同じクラスだったじゃない

天沢君てちょっと とっつきにくいけど

ハンサムだし

勉強もできるって言ってたわ

どうせですよ

そう あからさまに言わないでよ

ますます落ち込んじゃう

なんで? 好きならいいじゃない

告白されたんでしょ

それも自信なくなった…

ふーっ… 私 分かんない

私だったら毎日 手紙書いて

励ましたり 励まされたりするけどな

自分よりずっとがんばってる奴に

がんばれなんて言えないもん

そうかなあ…

雫の聞いてるとさ

相手とどうなりたいのか分からないよ

進路が決まってないと

恋もできないわけ?

雫だって才能あるじゃない

カントリーロードの訳詞なんか

後輩たち大喜びしてるもの

私と違って

自分のことはっきり言えるしさ

“俺くらいの奴たくさんいるよ”

(夕子) えっ?

ううん あいつが言ったの

あいつは自分の才能を確かめにいくの

だったら私も試してみる

決めた! 私 物語を書く

書きたいものがあるの

あいつがやるなら 私もやってみる

でも じき中間テストだよ

いいの 夕子ありがとう

なんだか力が わいてきた

帰る?

うん

おじゃましました

お母さんによろしくね

はい

夕子もがんばってね

うん…

夕子の良さ きっと杉村にも分かるよ

さよなら

さよなら

そっか 簡単なことなんだ

私もやればいいんだ

ムーン?

ムタ! ムタ!

お母さーん

ムタ また行っちゃったよ

ムタ!

ムタだって…

ほう バロンを主人公に…

お許しをいただけますか?

聖司君から このお人形がおじいさんの

宝物だと うかがったものですから

ハハハ… それでワザワザ

いいですとも ただし条件が1つある

はい

僕を雫さんの物語の

最初の読者にしてくれること

あっ あの…

どうですかな?

やっぱり見せなきゃだめですか?

だってちゃんと書けるかどうか

まだ分からないから…

ハハハ… それは私達 職人も同じです

初めから完璧なんか期待してはいけない

いいものを見せてあげよう

これ これ

見てごらん

雲母片岩という石なんだがね

その割れ目をのぞいてごらん

そう そうして…

わあ きれい

緑柱石といってね

エメラルドの原石が含まれてるんだよ

エメラルドって宝石の?

そう

雫さんも聖司も

その石みたいなものだ

まだ磨いてない自然のままの石…

私はそのままでも とても好きだがね

しかし バイオリンを作ったり

物語を書くというのは違うんだ

自分の中に原石を見つけて

時間をかけて磨くことなんだよ

手間のかかる仕事だ

その石の一番 大きな原石があるでしょう

はい

実はそれは磨くと かえって

つまらないものになってしまう石なんだ

もっと奥の小さいものの方が純度が高い

外から見えない所に

もっといい原石があるかもしれないんだ

いやあ いかん いかん

年をとると説教くさくて いかんな

自分に こんなきれいな結晶が

あるのかどうか とても怖くなっちゃった

でも書きたいんです 書いたらきっと

おじいさんに最初にお見せします

ありがとう 楽しみに待ってますよ  

原石…

ラピス・ラズリの鉱脈…

いざ お供つかまつらん!

ラピス・ラズリの鉱脈を探す旅に

恐れることはない

新月の日は空間がひずむ

遠いものは大きく

近いものは小さく見えるだけのこと

飛ぼう 上昇気流をつかむのだ!

急がねば 小惑星が集まってきた

わあっ ああっ

いいぞ 気流に乗った!

このまま あの塔を一気に越そう

あんなに高く!?

なあに

近づけば それほどのことはないさ

行こう! 恐れずに

午後の気流が乱れる時 星にも手が届こう

あれ?

へえ めずらしいなあ

雫が物語以外の本を探してるなんて

この人 牢屋でバイオリン作ってるんだ

あ…

聖司君!

もう行っちゃったのかと思ってた

おじいちゃんに聞いて

ここじゃないかと思ったんだ

会えてよかった 明日 行く

明日…

いいよ

雫が終わるまで ここで待ってる

送れなくって ごめんな

ううん

来てくれて とてもうれしかった

見送りにはいけないけど

帰りを待ってるね

うん たった2ヶ月さ

私… 泣きごとばかり言ってごめんね

私もがんばるね

じゃあ いってくる

いってらっしゃーい!

私と いいなずけのルイーゼは

遠い異国の町に生まれた

その町には まだ魔法が生きていて

魔法使いの血をひく職人達が

工房を連ねていたものだった

私達を作ったのは

見習いの貧しい人形作りだった

しかし ルイーゼと私は幸せだった

彼が人を愛する思いを込めてくれたから

ところが…

雫  

雫!

どうしたんだ? 月島

分かりません 聞いてませんでした

しっかりしろよ 大事な時だぞ

すみません

原田 かわりに読め

はい

えーっ また4時まで起きてたの!?

平気だよ 全然 眠くならないもん

でもさ

雫 この頃ポーッとしてること多いよ

さっきだって…

考え込んでただけよ 書きたいことが

ありすぎて まとまらないんだ

なんか食欲ない…

雫? いるんじゃない

やあね あかりもつけないで

あーあ 洗濯物ぐらい

しまってくれればいいのに

雫!

ちょっと来なさい 雫!

雫は? いるんだろう

欲しくないって

あっ お待ちしてました

お手数おかけします

さあ こちらへ

進路指導室 あいてるだろう?

ああ

どうぞ

ただいま

おかえりなさい

今日は早いのね 汐

はーっ 疲れた

コーヒー飲む?

頼むわ

お母さん ちょっと相談があるんだけど

なあに

私 家を出ようと思うんだ

もう部屋みつけてあるの

でもお金かかるんでしょう

大丈夫 バイトで貯めたし

塾の先生の口みつけたから

なんとかやっていける

そうか 汐には手伝いばかり

やらせちゃったもんね

がんばりな お父さんに話しとく

ほんと! うれしい

春までは何かと物入りだけど

卒業したら私も働けるから

そしたら少しは応援するね

うん 期待してる

ごめんね 修士論文で大変な時に

ありがと

データーの整理 手伝ってくれただけで

大感謝してる

部屋が広くなって

雫も少しは勉強に集中できるよ

あの子この頃 変だもの

やっぱりそう思う?

今日 学校に呼び出されたの これ見て

なあにこれ 信じられない!

100番も落っことしてるじゃない

あの子 机にかじりついて

何やってるのかしらね…

あっ こんばんは

おかえりなさい

すいませんね

(汐) あんな成績で

いったいどんな高校に行くつもりなの!

(雫) いいわよ 高校なんか行かないから!

高校 行かない?

世の中 甘くみるんじゃないわよ

中学 出ただけで どうやっていく気?

自分の進路ぐらい自分で決めるよ!

なまいき言うんじゃないの!

雫のは ただの現実逃避だよ

2学期で内申 決まるの

分かってるでしょう

勉強するのが そんなにえらいわけ?

お姉ちゃんだって 大学入ったら

バイトしかしてないじゃない!

私は やるべきことはやってるわ

(汐) 今やらなきゃいけないことから

逃げてるのは 雫でしょう!

それが分からない?

(雫) 逃げてなんかいない

もっと大事なことがあるんだから!

大事なことって何よ!

はっきり言ってごらん

汐 雫 もうよしなさい

だって お父さん

雫ったらひどいのよ

うん…

二人とも こっちに来て理由を話してごらん

雫 ちゃんと服をきがえておいで

早くしな  

なるほど…

雫 汐の言ったとおりかい?

テストがどうでもいいなんて思ってない

さっき高校 行かないって言ったじゃない

だって お姉ちゃんが

どこへも行けないって言った

汐 雫と二人で話をするから

席をはずしてくれないか

はい

母さんは?

田中さんとこ

(母) ただいま

(汐) おかえりなさい お母さん

お父さん帰ってるの?

(父) 母さんも ここへ来てくれないか

雫のこと汐から聞いたとこなんだ

(母) はい

(父) さて… 雫

今 雫がやってることは

勉強よりも大切なことなのか?

何をやっているのか話してくれないか?

言える時が来たら言う

雫 それって今すぐやらなきゃ

いけないことなの?

時間がないの

あと3週間のうちにやらないと…

私 その間に自分を試すって

決めたんだから

やらなきゃ…

試すって何を? 何を試してるの?

だまってちゃ分からないでしょう

お父さんやお母さんには

言えないことなの?

あなた

あ… すまん ついな

雫が図書館で一生懸命

何かやってるのを見てるしなあ

感心してたんだよ

雫のしたいようにさせようか 母さん

一つしか生き方がないわけじゃないし

(母) うーん

そりゃあ私にも身に覚えの

一つや二つはあるけど…

よし雫 自分の信じるとおり

やってごらん

でもな 人と違う生き方は

それなりにしんどいぞ

何が起きても

誰のせいにもできないからね

それから ごはんの時は

ちゃんと顔を出しなさい

そうだ 家族なんだからね

はい

汐を呼んできて

お茶 入れるわ

うん

お父さん ああ言ってるけど

本当は勉強してもらいたいと

思ってるんだからね

分かってる 背中に書いてあるもん

私 今度の日曜日に引っ越すからね

部屋 一人で使えるよ

お姉ちゃん 家 出るの?

そう しっかりやんな

(バロン) 早く

早く 早く

本物は1つだけだ

どれ? どれが本物?

(バロン) 早く 早く

早く

ああ…

キャーッ!  

ルイーゼ 来てくれたのか

私は もうすっかり年をとってしまったよ

(ゴトッ)

雫さん

さあ どうぞ

いやあ すっかり眠ってしまった

すみません あの…

物語を書いたので持って来ました

おお… それで できたんですね

約束です 最初の読者になって下さい

これは大長編だ

あの 今すぐ読んでいただけませんか?

何時間でも待ってますから

しかし せっかくの作品だから

時間をかけて読みたいがなあ

つまらなかったら すぐやめていいんです

いえ ご迷惑でなかったら あの…

ドキドキして とても…

分かりました すぐ読ませてもらいます

さあ火のそばへ 今日は冷え込む

これでジャマ者は来まい

あの… 私 下の部屋で

待ってちゃだめでしょうか?

ん?

平気です ちっとも寒くありません

うーん 構わんがしかし…  

こんな所で…

雫さん 読みましたよ

ありがとう とてもよかった

ウソ! ウソ!

本当のことを言って下さい

書きたいことが まとまってません

後半なんかメチャクチャ

自分で分かってるんです!

そう 荒々しくて率直で 未完成で

聖司のバイオリンのようだ

雫さんの切り出したばかりの原石を

しっかり見せてもらいました

よくがんばりましたね

あなたはステキです

慌てることはない

時間をかけてしっかり磨いて下さい

ワアーッ! ウッ ウッ…

さあここは寒い 中にお入り

私…

私 書いてみて分かったんです

書きたいだけじゃ だめなんだってこと

もっと勉強しなきゃ だめだって…

でも聖司君が

どんどん先に行っちゃうから

無理にでも書こうって

私 怖くて 怖くて…

聖司を好いてくれてるんだね

フーッ フーッ

味はどうかな?

おいしいです

聖司の時はラーメンだったな

最初のバイオリンができた時さ

それもジャンボ大盛りだ

フーッ フーッ

いやあ ありがとう

さてどこまで話したかな?

ドイツに留学して

町のカフェでバロンを見つけたって…

そうそう

メランコリックっていうのかな

この表情にひかれてね

店の人に ぜひゆずってほしいと

申し出たんだ

でも断られた

このネコの男爵には連れがいる

恋人同士を引き離すことはできないって

ちょっとした修理に職人へ戻してある

貴婦人のネコの人形の帰りを

バロンは待ってるっていうんだ

それって まるで私の作った物語と…

そうなんだ 不思議な類似だね

帰国の日も迫っていたし

僕はあきらめようと思った

その時ね

一緒にいた女性が申し出てくれたんだ

恋人の人形が戻って来たら

彼女がひきとって

二つの人形を きっと一緒にするからって

店の人もとうとう折れてね

僕はバロンだけを連れて

ドイツを離れることになった

必ず迎えに来るから

それまで恋人の人形を預かってほしいと

その人に約束してね

二つの人形が再会する時は

私達が再会する時だと…

それからすぐ戦争が始まってね

僕は約束を果たせなかった…

ようやく その町に行けるようになって

ずいぶん探したんだ

しかし その人の行方もバロンの恋人も

とうとう分からなかった

その人 おじいさんの

大切な人だったんですね

追憶の中にしかいなかったバロンを

雫さんは希望の物語に

よみがえらせてくれたんだ

そうだ あれを…

さあ 手を出して

あの…

その石は あなたにふさわしい

さしあげます

しっかり 自分の物語を書きあげて下さい

はい

ありがとうございました

さよなら!  

(雫) ただいま

おかえり

お父さんは?

お風呂 あなた今 何時だと思ってるの

ご心配おかけしました

今日からとりあえず受験生に戻ります

ご安心下さい

あら

じゃ“試し”とやらが終わったのね

とりあえずね

ごはんは? カレーあるよ

いい

はーっ とりあえずか…

ふーっ

(父) 雫 入るぞ

風呂に入れ

戦士の休息だな…

よいせ… と

はーっ…

はっ!

ウソ!

(待ってて)

奇蹟だ! 本当に会えた

夢じゃないよね

飛行機を1日早くしたんだ 乗れよ

あっ ちょい待ち

それじゃ寒いぞ

さあ乗った

私 コート取ってくる

時間がないんだ さあ乗って

しっかりつかまってろ

雫に早く会いたくてさ

何度も心の中で呼んだんだ

“雫!”って

そしたらさあ

本当に雫が顔 出すんだもん

すごいよ 俺達!

私も会いたかった まだ夢みたい

クレモーナはどうだった?

見ると聞くとは大違いさ

でも俺はやるよ

明るくなってきたな

降りようか?

大丈夫だ

お前を乗せて坂道のぼるって 決めたんだ

そんなのズルイ!

お荷物だけなんてヤダ!

あっ

私だって役に立ちたいんだから!

分かった 頼む

もう少しだ!

ハァ ハァ ハァ…

ハァ ハァ ハァ…

雫 早く乗れ!

うん

間に合った

わあーっ

持とうか?

平気  

こっち

すごーい 朝もやでまるで海みたい

ここ俺のヒミツの場所なんだ

もうじきだぞ

これを 雫に見せたかったんだ

おじいちゃんから 雫のこと聞いてさ

俺 何も応援しなかったから

自分のことばっかり考えてて…

ううん 聖司がいたからがんばれたの

私 背のびしてよかった

自分のこと 前より少し分かったから

私 もっと勉強する

だから高校へも行こうって決めたの

雫 あのさ…

俺…

今すぐってわけにはいかないけど

俺と結婚してくれないか

えっ…

俺 きっと一人前の

バイオリン作りになるから そしたら…

うん

ほんとか!?

うれしい

そうなれたらいいなって思ってた

そうか ヤッター!

待って 風 冷たい

雫 大好きだ!  

(♪カントリー・ロード)

♪ひとりぼっち おそれずに

♪生きようと 夢みてた

♪さみしさ 押し込めて

♪強い自分を 守っていこ

♪カントリー・ロード

♪この道 ずっとゆけば

♪あの街に つづいている

♪気がする カントリー・ロード

♪歩き疲れ たたずむと

♪浮かんで来る 故郷の街

♪丘をまく 坂の道

♪そんな僕を 叱っている

♪カントリー・ロード

♪この道 ずっとゆけば

♪あの街に つづいている

♪気がする カントリー・ロード

♪どんな挫けそうな時だって

♪決して 涙は見せないで

♪心なしか 歩調が速くなっていく

♪思い出 消すため

♪カントリー・ロード

♪この道 故郷へつづいても

♪僕は 行かないさ

♪行けない カントリー・ロード

♪カントリー・ロード

♪明日は いつもの僕さ

♪帰りたい 帰れない

♪さよなら カントリー・ロード